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■『戦旗』1638号(6月20日)4-5面

 
共産主義者同盟(統一委員会)
 2023年政治集会 基調報告
 





 ここに掲載するのは、本年四月一六日に、中央、関西、九州・山口の三地方において開催した共産主義者同盟(統一委員会)政治集会の基調報告である。各政治集会については、『戦旗』第一六三六号(五月二〇日付)に既報。
 情勢も階級攻防も日々動いている。この基調報告で明らかにした方針をもって、本年前半期最大の政治闘争―G7広島サミット粉砕闘争を、すでに全国結集で闘い抜いている。継続する今後の闘いに向けて、四月政治集会の内容を再確認しておく。


●1章 二〇二三年、世界は

 二〇二三年現在、世界情勢を一言で表すなら「分断と対立の激化」であろう。アメリカやEU諸国、日本などの先進資本主義国、すなわち帝国主義国と中国・ロシアをはじめ、トルコやインド、ブラジルなどを含む新興国との競争は激化し、帝国主義諸国は生き残りをかけて「民主主義対専制主義」なるスローガンを掲げ、中ロたたきに奔走している。しかし、「民主主義」たる帝国主義陣営もその国内は格差が極限まで拡大し、この現実に根差して一方では移民排斥などの差別排外主義が勢いを増し、他方では賃上げゼネストなど階級闘争が強化拡大している。
 二一世紀に入ってから、アメリカの衰退と中国の台頭は購買力平価、GDPなどあらゆる指標からはっきりとしている。二〇〇八年リーマンショックの際は世界経済の立て直しがアメリカ単独やG7諸国では実行できず中国やロシアを含む新興国の協力を必要とした。
 二〇一一年一一月、オバマ政権が対中国抑止にかじを切って以降、アメリカは中国を戦略的競争相手と位置づけ、軍事、政治、経済を貫いて、同盟国を巻き込み中国封じ込め政策を推進している。軍事面では日米、韓米の軍事同盟強化とその三国同盟化、米・英・豪の新たな軍事的枠組み(AUKUS)、多国間軍事演習の強化、政治面では日米豪印戦略対話(クアッド)、経済面では経済安保と称し、集積回路に代表される戦略的製品の供給網から中国を切り離すといった政策だ。
 こうした対立は容易に戦争に結びつく。今、東アジアは対立の前線となっている。朝鮮半島では二〇一八年の南北首脳会談で作られた朝鮮戦争終結、平和実現の機運は米朝会談の不発、韓国尹錫悦政権の成立により遠のき、米日韓による軍事挑発と朝鮮民主主義人民共和国の対抗ミサイル発射で緊張が高まっている。米中対立の関係では「台湾有事」の挑発と琉球弧の軍事化が進んでいる。南の島々に建設されたミサイル基地群は住民の犠牲をいとわない第二の沖縄戦を招こうとしている。

●2章 ウクライナ侵略戦争

 帝国主義諸国と中ロなどとの対立は一足先にウクライナで火を噴いた。二〇二二年二月二四日、ロシアのプーチン政権はウクライナへ侵攻を開始した。どのような理由があろうともこれは決して許されるものではない。プーチンの論理は大ロシア主義であり、ウクライナ人民の自決権を踏みにじる侵略だ。われわれはこの侵略戦争を弾劾する。この戦争は過去と同様に、民間人殺害、追放あるいは強制移住、レイプなどあらゆる戦争犯罪を伴いながら進行中である。
 一方で、NATOの東方拡大や、東欧へのミサイルや米軍配備といった「民主主義」陣営の度重なる挑発行為が行われた事実を忘れてはならない。結局、戦争の原因は欧米のブルジョアジーとロシアのブルジョアジーの資源、市場、これらを巡る戦略拠点(ガスパイプ、鉄道、港など)の争奪戦である。矢面に立たされるのはプロレタリアートだ。
 戦争は今なお継続中である。ウクライナへの際限ない軍事援助で戦争は泥沼化し、収束は見えない。プロレタリアートから収奪された資金で軍需産業の株価は高止まり。戦争それ自体からも利益を得るプルジョアジーとその代理人たちは、結局のところこの戦争を終わらせるつもりはない。戦争終結は国際プロレタリアート勢力の反戦の闘いにかかっている。

●3章 日本国内では

 岸田政権は参議院選挙で勝利し、改憲派で衆参両院での議席三分の二以上を確保した。しかし、岸田の絶頂はそこまでで直ちに坂を転がり落ち始める。最初の躓きは、選挙期間中に銃撃され、死亡した安倍晋三の国葬問題。銃撃犯の動機が統一教会への復讐と判明した後でも岸田は国葬を強行、統一教会問題に加え、コロナ禍で民衆の生活が厳しいときに多額の税金を投入する国葬に対し、巷間は戦争法以来の街頭行動が拡大した。さらに政府の閣僚などはカネの問題や差別発言で次々と辞任、解任に追い込まれ、円安、物価高なども重なり、支持率は低迷するに至った。
 しかし、岸田は政権の危機を福島事故への反省なき原発回帰、排外主義強化、大軍拡路線で乗り切ろうとしている。重要な決定は国会にかけず、すべて閣議決定だ。二〇二二年末のGX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針は二酸化炭素の排出削減をうたいながら、化石燃料依存からは脱却せず、火力発電プラントの輸出まで方針化し、国際的な非難を浴びている。同時に原発について再稼働、六〇年超運転、建て替え、新設などが盛り込まれた。軍拡では、安保三文書の改悪、軍事費倍増、敵基地攻撃能力の確保とその手始めとしてのトマホーク四〇〇発購入、軍拡目的の大増税。さらに入管法改悪の再提出など。民衆の生存と岸田政権の継続は両立しない。

●4章 どうしてこうなった?

 第二次世界大戦以降の高度経済成長の終焉とともに、帝国主義諸国は危機を迎えた。一九七一年金ドル兌換停止(ニクソン・ショック)、七三年変動相場制移行、七四~七五年恐慌、七五年サイゴン解放(米帝の敗北、ベトナム民族解放勢力の勝利)。資本主義陣営におけるアメリカ一強は終焉(サミットがスタート)し、サッチャリズムやレーガノミクス、中曽根といった新自由主義が台頭した。九〇年を前後して、競争相手であった「労働者国家」群が崩壊、新たなフロンティアを得たブルジョアジーは旧「労働者国家」やアジア、アフリカ、ラテンアメリカの諸人民に犠牲を強いながら我が世の春を謳歌した。いわゆる新自由主義グローバリゼーションの時代である。
 新自由主義がやたらと規制緩和を求めるのは、利潤率の低下に苦しむ資本主義が利益を確保するために人民に対する搾取強化と資本輸出に活路を見出すものであるがゆえだ。それは国内的には貧富の格差を極限まで高めて社会を不安定化し、国際的にはフロンティアとされた諸人民の社会経済を破壊した。しかし、ブルジョアジーの春はいつまでも続かない。技術移転の速度が圧倒的に早くなっている現在、帝国主義諸国の産業はどんどん空洞化し、かつて新自由主義グローバリゼーションの辛酸をなめた諸国は新たな世界の工場として帝国主義諸国の強力な競争相手として立ち現れることになった(新興国)。こうして冒頭見たような「分断と対立」の世界が出現した。

●5章 ブルジョアジーの処方箋

 世界の支配と利益の独占を続けたい帝国主義諸国のブルジョアジーにとって今の状況は好ましくない。彼らが真っ先に考えるのは競争相手の抑え込みだ。米中対立や「民主主義対専制主義」などはこの文脈から発生している。だが、彼ら自身が利潤の追求のためになした新興国への資本輸出によって、世界の生産活動はすでに緊密に結びついている。中国を抑え込もうとしても、中国で生産される部品類がなければ、すでに車一台作ることができなくなっているのだ。
 そこで、彼らは次に経済安保と称する重要生産資材の自国ないし自陣営での完結、重要インフラや軍事転用可能な技術を対象とした政府による企業統制、特許公開の制限といったことに乗り出す。これは戦時統制経済だ。だが、高コストの生産形態を嫌って、自国産業を空洞化してきたのに、今更元に戻せるのか? コストがかかる分は政府が補助するというが、その出どころはプロレタリアートから搾り取った税金だ。つまり労働自体からの搾取に加え、経済安保を支えるためにまで、収奪が強化されるのだ。
 彼らの最後の(いつもの)手段が戦争だ。競争相手を挑発し、戦争で国力を疲弊させる。ウクライナで行われているものだ。彼らは今回のウクライナ戦争で「うまくいった」とほくそ笑んでいるのではないか。だが、ウクライナ戦争は世界的な食糧不足や燃料高騰で民衆に多大な犠牲を強いている。そもそも、核大国同士の戦争は容易に核戦争に転化しうるということを忘れるべきではない。
 戦争体制はプロレタリアートを犠牲にするがゆえに当然反発を呼ぶ。これを抑え込むためにブルジョアジーからの攻撃が強化される。階級矛盾から目をそらさせるための差別排外主義の強化や労働組合への解体攻撃。移民排斥やミソジニー、セクシャルマイノリティ差別、障害者への差別・抹殺攻撃、生活保護受給者たたきなど、ここ二〇年を見渡しても枚挙にいとまがない。殺人や放火といったヘイトクライムも噴き出している。労働組合敵視は全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部への弾圧が目立っているが、裁判所の反動化や経営の組合無力化攻撃はまともに闘う組合ならどこでも経験しているといわざるを得ない。
 見てきたとおり、ブルジョアジーたちの対策は初手からうまくいっていないし、どれも民衆に犠牲を強いるものだ。そのうえ、資本主義の成長に欠かせないフロンティアはもうない。一時危機を乗り切っても矛盾はひたすら先送りされるだけで次の危機はさらに大きなものになる。さらにその間にも地球環境の危機は亢進し続ける。IPCC第六次報告では人間の活動の影響による温暖化はもはや疑う余地がなく、大雨、猛暑などにも人間の影響が出ている、今世紀半ばまでの平均気温上昇1・5℃以下はカーボンニュートラルを達成しても実現は半々、海面上昇リスクを指摘している。経済成長どころか人類を含む地球の生命全体が危機にさらされているのだ。世界経済フォーラム(ダボス会議)ではすでにブルジョアジー自身が新自由主義グローバリゼーション(言葉は巧妙に言い換えているが)を続けられないことを認めているのだ。

●6章 人類の歴史は社会の抜本的変革を求めている

 ではどうするのか? 現在の危機をもたらした新自由主義グローバリゼーション、いや資本主義の生産形態を変更することが求められているのだ。地球環境を破壊するまでに至った人類の生産活動が、利益の追求を動因として一握りのブルジョアジーの手に握られていることに無理があるのだ。
 今、求められているルールの変更は行くところまで巨大化した人類の生産力を生存可能な地球の維持と人民の生きる権利に振り向けること。そのために生産手段のブルジョアジーによる独占をやめさせ、生産の在り方を民主的に決定できるようにすることである。その時、生産を民主的に決定する空間は労働者、労働組合や、権利が保障されなければならない様々な当事者、今の社会では被差別者とされている人々によって構成され、またそれは一企業や一産業、一国の都合で運営されてはならず、おのずと国際的な枠組みとなるだろう。われわれはそのようなものとしてコミューン・ソヴェトを構想し、私たち自身が社会を運営する共産主義社会の建設を目指す。それは不可避にブルジョアジーとの階級闘争、権力打倒を求めている。

●7章 共産主義者同盟(統一委員会)の闘いと方針

 二〇二二年は前述した安倍国葬反対闘争をはじめ、沖縄「復帰五〇年式典」粉砕闘争、岩国行動二〇二二、老朽原発再稼働反対や汚染水放出反対などの反原発闘争、各闘争を貫くとともにAWC運動をとおしての国際連帯運動などを推進してきた。反帝拠点三里塚では裁判での不当判決の結果、市東さんの農地や作業小屋に対する攻撃が秒読みとなり、反対同盟と支援は強制執行実力阻止態勢をもってこれと対峙した。二月一五日二〇時、日没後の座り込み市民が減少する隙をついて強制執行攻撃がかけられた。だが、反対同盟とわれわれを含む支援はこれと実力行動で闘い抜いた。市東さんは権力への屈服を拒否し、これからも天神峰で農業を続けていく。成田空港会社は第3滑走路をはじめとした空港機能強化に着手しているが、周辺住民の反対の声があがっている。反対同盟とともに空港機能強化反対を闘い抜いていこう。
 差別排外主義との対決なしに階級闘争の勝利はない。われわれはこの面でも障害者解放、被爆二世解放、セクシャルマイノリティ解放、狭山第三次再審闘争が決戦局面を迎えている部落解放の闘いに被差別当該を先頭に尽力してきた。植民地支配から一貫して続く外国人差別を利用して日本資本主義の犠牲にしてきた諸問題、日本軍性奴隷制度や徴用工の被害者に対する戦後補償問題、入管問題、技能実習生問題などとの闘いに取り組んだ。また、こうした差別排外主義の中心にあり、ごまかしと暴力の装置として機能してきた天皇制との闘いにも取り組んできた。
 われわれは左翼反対派の限界を乗り越え、階級闘争構造建設に取り組んできた。八〇年代後半の右派的労戦統一以降、良くも悪くも日本階級闘争の主流を形作ってきた総評・社会党ブロックが解体した。その中で、前身期を含めわれわれは労働運動・市民運動に責任あるかかわりを継続し、大衆とともに、大衆の先頭で闘う党を実践した。三〇年以上を経て、われわれは労働戦線ではナショナルセンターやいくつかの産別組織の中でも、市民運動や反差別戦線の中でも、ともに闘う民衆から一定の信頼を勝ち得ている。こうした組織や運動は残念ながらかつての総評・社会党ブロッククラスの社会的な存在にはなりえていないが、日本革命を目指すうえで小なりといえども存在感を持つものまで成長させることができている。
 他方、かつての総評・社会党ブロックの残滓は最終的な限界を迎えている。日本最大のナショナルセンター連合は春闘での賃上げ額非公表や事実上の中小企業や非正規の労働者切り捨てにみられる正社員クラブの完成、芳野会長の自民党すり寄りなど、もはや労働者の団結体としての体をなしていない。今春闘では「満額回答」を連呼していたが、金額をみれば物価上昇に足らず、ほとんどが大企業正社員限定の成果である。旧社会党は大半が「リベラル」という名の右転落を果たし、少数の残った部分は、社会民主党が国政選挙のたびに存続の危機、新社会党が地方組織を維持するのみとなっている。
 このような状況下、われわれが果たすべき役割は重大である。

●8章 二〇二三年重点闘争

 二〇二三年われわれは階級闘争構造建設と、国際連帯闘争の組織化を継続するとともに、特に前半期、以下の闘争を重点闘争として提起する。特に①や④は具体的な闘いとしては琉球弧の再びの戦場化を許さないことを含む反戦闘争・反基地闘争・戦争準備の要となっている岩国基地大強化を許さない闘争と密接にリンクしており、これら諸課題と結合して闘われる。

▼① 岸田大軍拡・大増税との対決

 物価高騰が止まらない。統計では4%台の物価上昇とされているが、これはぜいたく品を含めた数字。生活必需品などを中心とした実感に近いものでは一割超え。電気・ガスなどでは二~三割も上昇している。春闘は「満額回答」の報道が続いたが、こうした物価上昇に見合う成果はない。最低賃金も年金も生活保護の基準額も物価上昇に追い付いていない。民衆の生存は限界だ。
 にもかかわらず、公的資金は民衆の生存保障のためではなく軍備拡大につぎ込まれようとしている。二〇二三年度の防衛費概算請求額は五・六兆円。二〇二七年度の一〇兆円を目指してこれから五年間で四三兆円をつぎ込む計画だ。既に、トマホーク四〇〇発や国産ミサイルの射程延伸、九州から与那国島に至る基地の強化と部隊配置、弾薬の集積など戦争体制構築が進んでいる。さらに岸田は戦争準備の総仕上げとして改憲をもくろんでいる。
 戦争準備はアジア太平洋での日帝の権益確保、海外からの収奪が本質的な理由で、目的自体が反人民的なものだ。
 戦争準備に必要な資金は大増税と、人民の権利を保障する福祉・医療・教育といったものの削減で調達される。既に復興特別税など、もともと東日本大震災からの復興(もっとも被災人民の生活再建に貢献した割合は検証が必要だが)目的税がそのまま防衛費拡大目的に付け替えられている。破綻必至の国債も最後には人民に負債を押し付けることになる。人民に待っているのは餓死、病死、野垂れ死に、戦死だ。阻止するしかない! 岸田政権を打倒しよう!!

▼②入管法改悪阻止、入管体制解体の闘い

 ウィシュマさん死亡事件をはじめとする入管による収容者の虐待・虐殺が明るみに出て、昨年は入管法改悪が阻止されたが、今国会にもほとんど変わらない法案が提出された。したがって問題点もほとんど同様だ。命の危険のある難民申請者が、三回以上の難民申請においては申請中であっても強制送還が可能となるという問題であり、支援者を監視体制の一部として組み込むという問題である。日本の入管制度は「外国人は煮ても焼いても自由」という体制のままだ。法改悪を阻止し、入管体制を解体しよう。
 転職の自由も居住の自由もない技能実習制度は現代の奴隷制、人身売買だ。実習制度を廃止し、外国人に労働者としての権利を確立し、外国人労働者と日本人労働者がともに闘う労働運動を進めよう。
 入管制度は日本の敗戦、植民地解放後の旧植民地出身者の日本国籍からの排除を淵源とする。それは全面的な解放と民族の復興を求め闘った在日朝鮮人を弾圧する治安政策として始まった。その意味で入管問題、技能実習生問題と在日朝鮮人への差別政策は結合しているものだ。高校や幼保の無償化からの排除との闘い、在日へのヘイトスピーチ、ヘイトクライムとの闘いも結合して闘おう。

▼③老朽原発再稼働阻止、GXとの対決

 岸田政権は、二〇二二年末より福島原発事故以降の政策を転換し原発の再稼働、稼働延長、建て替え、新設を打ち出した。これをGXと称している。曰く、ウクライナ戦争に伴う化石燃料の高騰への対応と二酸化炭素の排出対策だとする。だが、福島事故で露呈した原発の事故リスクはこの一二年で何か変わったわけでもない。そもそも、汚染水問題やデブリの除去のめどが立たない、避難を余儀なくされた住民の暮らしの回復など福島事故自体が収束していない。結局は民衆の利益よりも大資本の利益に奉仕するためにリスク度外視で安価な大電力を供給しようとしているだけなのだ。焦点化している老朽原発高浜一、二号機、美浜三号機、東海第二原発の再稼働阻止、廃炉を先頭に、原発全廃めざし闘おう。

▼④G7広島サミットとの闘い

 G7の会議目的は各国ブルジョアジーの利益調整、人民からの搾取強化と競争相手である新興国の抑え込みだ。特に今年のテーマはウクライナ戦争と中国の封じ込めにある。G7諸国はウクライナへの支援を決議するであろうが、重要なことはウクライナ人民の安全は目的ではないという事だ。ブルジョアジーの利害から行くとロシアの勢力をそぐことができるなら戦争終結は必ずしも必要ではない。前述の通り、ウクライナへの軍事援助ではG7諸国の軍需産業はぼろもうけをしている。彼らの語る「ウクライナ支援」は欺瞞である。
 中国の抑え込みは冒頭示したとおり、すでに具体的に進められている政策だ。広島ではG7の対中国結束を確認し、具体的な挑発政策の正当化の場として機能するだろう。日本においては岸田大軍拡とリンクしている。日本人民は自らの利益と国際主義的な責任の双方からG7と対決することを求められている。アジア人民と結合して闘おう。
 今回の広島G7との闘いにはもう一つの意味がある。岸田は被爆地ヒロシマにG7の首脳を招待する意味があるといっている。G7は被爆地ヒロシマに寄り添っているのだと演出することだ。これは冒涜である。
 G7のうち、アメリカ、イギリス、フランスは核保有国だ。イタリア、カナダ、ドイツ、日本はその同盟国として、いわゆる核の傘の下にある。これは世界最大の核兵器恫喝グループなのだ。われわれはプーチンの核兵器恫喝を決して許しはしないし、日米韓による軍事恫喝に常時さらされている重大性を十分に理解し、そのこととたたかいつつも、やはり朝鮮民主主義人民共和国の核兵器開発を肯定することはできない。しかし、露骨な核恫喝を口に出していないからと言ってG7グループが核恫喝をしていないとは言えないのだ。核兵器には恫喝と破滅のほかに目的はない。バイデンを筆頭に核保有国の首脳は核のボタンを広島に持ち込むことだろう。七カ国はいずれも核兵器禁止条約に背を向けている。
 核のボタンを持ったまま、平和公園にやってきて、高齢の被爆者に会い、おためごかしや詩的な演説をすることの欺瞞に怒りが抑えられない。前回の日本開催サミット時の二〇一六年五月アメリカ大統領オバマは広島を訪問し、平和公園で演説した。「空から死が降ってきた……」。
 これには、丸木位里、俊の絵本「ヒロシマのピカ」の一節を対置しよう。「ピカは人が落とさにゃ落ちてこん」。
 G7広島サミットとの闘いに決起しよう。



 


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